肺炎と飲み込みの深い関係

 日々たくさんの誤嚥性肺炎の患者さんを診療していますが、病院では肺炎を一時的に治療することはできます。しかしそれが起きた原因を、医師の力だけで完全に解決することはできません。退院後に退院した先の生活で誤嚥が続いていたり、口腔内の環境が不良であったりすると、また誤嚥性肺炎になる可能性が高くなります。治療には時間もお金も必要となりますし、肺炎になりやすい高齢の方は肺炎のたびに体力も低下していきます。予防ができる感染症なのに、年々亡くなる方が増えている。そんな現状にもどかしさを感じていました。

社会全体を巻き込む活動

 交通事故の死亡者数が減っているのも、車の性能や道路の整備だけではなく、ドライバーや歩行者の意識の変化など、社会的な動きが要因となっています。誤嚥性肺炎を根本から解決するためにも、医療現場だけではなく、社会全体を巻き込む必要があると考えました。
 そこで立ち上げたのが「ゆめカステラプロジェクト」という団体です。「飲み込みやすい新しいカステラの開発」を軸にして、誰でも参加しやすい形にしました。最初は医療や介護の現場に携わる人たちで始めましたが、徐々に医療と関係なく幅広いジャンルのメンバーが加入しています。そこには、プロジェクトを通してまずは参加者一人ひとりに飲み込みの問題を考えてほしいという想いがあります。

未来に繋がる商品づくり

 今後、団塊の世代が高齢者となる時代になれば、誤嚥性肺炎の患者さんはもっと増えていきます。そうなると、医療の現場だけでは対応が難しくなるかもしれません。その前に、飲み込みの問題はもっと身近なんだと理解してもらい、社会的に対応できるよう働きかけていけたらと思います。また活動の第一弾として「なめらかすてら」を製品化しましたが、さらに新しい飲み込みやすい商品づくりにもチャレンジしていきたいと思います。